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過去問3回分を最大限活用する
直近数年の本試験問題リストを見ても明らかですが、その時に話題になっている「時事問題」が問われていますね。1級対策をすることで、社会の知識が増える、という点も、1級学習の醍醐味です。
それでは、以下、最初にやるべきことを順に説明します。 既に「やり方は分かっている」という方は、以下は読み飛ばし、「過去問のお題に挑戦」してみてください。
それでは始めましょう!
定番ではありますが、まずは直近3回分の過去問と解答をダウンロードし、熟読しましょう。
問題形式は、以下の通り、240語までの語彙数と、エッセイ・ストラクチャー(イントロ、ボディ、結論)が支持されていますね。 そして、準1級までは「2つ」だった「観点」が、1級からは「3つ」になっています。
実際に解答を記入する「マークシートのサンプル」もダウンロードしておき、本番での「スペース感覚(記入時の文字の大きさなど)を確認しておきましょう。
サンプル解答の要約作成
過去問と解答をダウンロードしたら、まず「ライティングのサンプル解答」を熟読してみましょう。 「どの程度の語彙と文法」が使われているか? をチェックするのはもちろんですが、私がおススメするのは「どんな切り口で書いているか、要点をまとめる」読み方です。
例えば、2021年1回の「 Are economic sanctions a useful foreign-policy tool? 」というお題に対してどんなサンプル解答が書かれていたか、をざっくり訳します(私は翻訳家ではありませんので、稚拙な訳をご容赦下さい)。
サンプル解答
段落1:Of the numerous foreign-policy tools used by governments to navigate globally contentious situations, economic sanctions are extremely effective for upholding laws and treaties, settling disagreements in an indirect manner, and even forging international support.
段落2:In cases where a country’s actions violate international law, economic sanctions can yield effective results. Dictatorships, for example, typically rely on imported resources for their militaries and illegal activities. When these nations refuse calls to engage in diplomatic discussions, economic sanctions can be used to restrict the flow of specific resources and curb the proliferation of the offending activities.
段落3:Economic sanctions are also a nonconfrontational approach to resolving international disputes. Some foreign-policy tools, such as military intervention or diplomatic sanctions, can exacerbate tensions by elevating the risk of armed warfare or shutting down crucial avenues of negotiation. Economic sanctions, however, avoid the use of force while still effecting a positive outcome.
段落4:Furthermore, economic sanctions can be instrumental in garnering multilateral support. The decision to levy economic sanctions is commonly regarded as a way for a country to reinforce its commitment to issues such as human rights. Such stances are often universally praised and can encourage other nations to follow suit.
段落5:Strengthening solidarity on the international stage is no doubt a welcome benefit of economic sanctions, but in times when there is a need to enforce international law or foster peaceful resolutions, the true usefulness of such sanctions in foreign policy becomes particularly apparent.
段落ごとの要約
段落1: 経済制裁の役割と効果
経済制裁がどのようにして国際的な法律や条約を守り、間接的な形で問題を解決し、国際的な支持を得るために使用されるか。経済制裁の役割が外交政策のツールとして非常に効果的である。
段落2: 違法行為に対する経済制裁の威力
経済制裁が国際法を破った国に対してどのように効果を発揮するか。特に独裁国家に対して、輸入資源を制限することで違法行為を抑える手段として機能する点を強調。経済制裁が具体的にどのような影響を与えるか、具体的なケースを示して説明。
段落3: 非対立的手段としての経済制裁
経済制裁が非対立的な手段として、国際紛争の解決に寄与することが述べられている。他の政策手段(軍事介入や外交制裁)と比較して、経済制裁は武力を伴わないため、より穏便な手段であることが示されている。
段落4: 多国間支持を得るための経済制裁
経済制裁が多国間の支持を得るための手段として機能することが述べられている。また、人権問題などに関する国の立場を強化するための手段としても評価されており、他国も同様の行動を取る可能性が高いことが説明されている。
段落5: 国際法を守るための経済制裁の重要性
経済制裁が国際法を強制したり平和的な解決を促したりするための有用性が、特に緊張が高まる時期に顕著であることが述べられている。この段落では、経済制裁の長期的な効果や役割について強調されている。
論理展開の順序がキモ
ボディ段落(2・3・4段落)の論理展開を見てください。
上記、水色背景にしているのが、各段落の「トピックセンテンス」です。
- トピックセンテンス(この段落で一番いいたいこと)
- その理由(一番言いたい事の根拠)
と言う順序で展開されているのが分かりますね。
つまり
- 冬はミカンを食べるべき(<–これが一番言いたい)
- ビタミンが入っているので風邪防止になる
- ミカンには食物繊維も入っている
- 値段もお手頃
という順序です。
次の論理展開はNGです。
- ビタミンが入っているものは風邪防止になる
- 食物繊維を撮った方がいい
- お金はあまりかけたくない
- 冬はミカンを食べるべき(<– この順序はNG)
イントロと結論で差をつける
イントロ文
段落1:Of the numerous foreign-policy tools used by governments to navigate globally contentious situations, economic sanctions are extremely effective for upholding laws and treaties, settling disagreements in an indirect manner, and even forging international support.
要素分解
政府が国際的に緊張した状況に対処する際に多くの外交政策ツールがある中で、経済制裁は法律や条約の遵守を強制し、間接的に問題を解決し、さらには国際的な支持を得る非常に効果的な手段である
イントロ文で、3つの観点を端的にまとめています。読者は、この後何について論じられるかが分かりますね。
結論文
段落5:Strengthening solidarity on the international stage is no doubt a welcome benefit of economic sanctions, but in times when there is a need to enforce international law or foster peaceful resolutions, the true usefulness of such sanctions in foreign policy becomes particularly apparent.
要素分解
国際舞台での連帯強化は経済制裁の明確な利益であるが、国際法の執行や平和的解決が必要な時には、経済制裁の真の有用性が特に際立つ
前半:経済制裁の一般的な利益
後半:それが特に重要となる具体的な状況
エッセイを目的・要素で分解すると、とてもシンプルな構成なのが分かりますね。
イントロ・結論で「エッセイで一番言いたい事」を要約し、ボディ段落ではその根拠を3つに分けて書きます。またボディ段落では「トピックセンテンス –> 根拠」の論理展開で書き進めるのがコツです。
「国際社会の問題」に自分なりの意見を持つ
1級対策を始めてぶつかる最初の壁が「国際社会の問題について、自分の意見がとっさに出てこない」事です。以前、担当していた生徒さまは、「どんな切り口があるのかさえ、分からない」とおっしゃっていました。
特に「社会」にあまり自信のない生徒さまは、「切り口が分からない」ため、「それに関する英語表現も知らない」という大ピンチに陥ります。
いや、そもそも「対処すべき国際社会問題のカテゴリーもあいまい」、という場合もあるでしょう。
現在の「国際問題」のリストアップと、現状が把握できるのが、国連サイトの「Global Issues」というページです。このサイトの良いところは、問題のカテゴリーがすっきりまとめられており、「なぜ対処すべきか・どう対処すべきか」に関する英語も学習できる点です。
いやいや、知識がなさ過ぎて英語だけで読むと時間がかかりすぎる、という場合は、「Global Issues」で拾った語彙を「コトバンク」でささっと調べる、という作業で、かなり時短になりますよ!
まとめ
英検1級ライティング対策なのに、「日本語だらけ」という不思議な投稿になってしまいました(笑)。次回からは、実際にサンプル文を書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。
ライティング対策は初めてで学習方法が分からない、と言う方は、「1級ライティング 01 三冠講師が合格した、教材と学習法」をご一読下さいね。
最後まで読んでいただき、有難うございました。
英作文(意見論述・要約問題)対策テキスト
「どんなテキストがおすすめですか?」とよく聞かれるのですが、「問題量が多い」ものと「知識量を増やせるもの」の2種類を準備すると良いかと思います。
また、あまりにも文法解説が長いテキストは、英検1級対策としては、「?」という感じがします。
「何を、どんな観点で、どう伝えるか」にフォーカスして書かれたテキストを選んでください。
英作文テキストは、「最低でも3ラウンドする」。語彙や表現を増やす系のテキストは「最低でも5ラウンドする」つもりで、1ページごとに時間をかけすぎず、分からない時はすぐにググりながらテンポよく進めていきます。