外資系IT企業で働いてみた

23年2月の筆者は冒険サバイバル・ゲーム感覚

まわりがほとんど日本人じゃない、という環境で働き始めて2年目、ほぼ在宅勤務のため、自宅にいながらにして、1日の大半は英語で生活しています。

Project Manager, IT consultant, engineer の3つの役割で様々なプロジェクトに関わっています。

外資系IT企業とは言え、小規模企業で多数のクライアント様を抱えている状態ですので、どの社員もマルチタスクで業務をこなす事になります。

長年、自社のシステム開発をちまちまとやってきた私にとって、世界各国のクライアント様にソリューションをご提案し、システム開発を行う事は、ダイナミックで刺激的で、冒険をしているような感覚になります。

年齢・性別・国籍を問わず、「能力」「実績」のみで評価される完全実力主義の会社で働き続けることは、まさにサバイバル・ゲームです。

英語と日本語のハザマで踊らされる日々

世界各国から集まったクセの強い(笑)社員で構成されたこの会社の公用語はもちろん英語ですが、クライアント様によっては、「日本語ドキュメント」「日本語での説明」「日本語での研修」が求められる機会も多く、資料作りは常に英語と日本語の両方を作成する、という面倒な(笑)環境です。

クライアント様のリクエストを日本語でまとめて先方に確認したあと、英語に書き直してプロジェクトチームに英語&日本語で説明し、修正箇所などをヒアリングしたあと、またその内容をクライアント様にお伝えする、という「日本語と英語のハザマで踊らされている日々」が続いています。



理解効率が高い日本語

少し話が脱線しますが、長尺のマニュアルなどを作成していて気付いた事は、「日本語の方が理解効率がいい」という点です。同じ長文なら日本語の方が圧倒的に「一目見て、何が書いてあるかわかる」率が高いと思いませんか? 

これは、読解力の問題というよりも、日本語の構成にあると思います。

日本語の場合は、漢字やカタカナが含まれているため、「視覚的・ロゴ的」にその文章の意味が脳に入ってきます

一方、英語の場合は、左から順に単語を目で追いかける必要があり、日本語に比べると、「見る」というより「読む」作業が必須になるからだと考えています。

そんなわけで、クライアント様が日本語をご希望される企画書やドキュメントを作成する際は、まず日本語で箇条書きをし、文章に書き直し、自社向けに英語で書き直す、という手順を踏む事が多いです。

言葉とカルチャーの壁

Language and communication barriers: Many foreign-affiliated IT companies may struggle with language barriers, as Japanese is the primary language of business in Japan. This can make it difficult to communicate with Japanese clients and partners, as well as with employees who may not speak English fluently.

日本人同士でもモメる事がありますから、多国籍社員が集まる会社においては、「誤解したり、誤解されたり、伝わらない」事を前提にコミュニケーションをとる必要があります。ちょっとした質問をする際も、言葉を吟味し、文章のニュアンスを熟考して相手に投げないと、予想外のリアクションや回答が返ってきます。

「あー、みんな日本人だったらもっと楽に質問&コミュニケーションとれるのになぁ」と感じる場面もよくありますが、逆に、「暗黙の了解」が通用しないステージだからこそ、「言葉の定義」や「ビジュアル化」「シンプル化」「標準化」に対する感覚が研ぎ澄まされるのかもしれません。

心地よい多様性と、異文化サプライズ

Cultural differences: Cultural differences can also pose a challenge for foreign-affiliated IT companies in Japan. Japanese business culture is known for its emphasis on consensus-building, hierarchy, and long-term relationships. Foreign companies may need to adapt their management styles and business practices to fit within this cultural context.

多様性を尊重する現在の会社は私にはとても心地良く、日本の流儀や文化や慣習にとらわれない自由な社風が大好きです。

一方で、日本企業で暗黙の了解とされていることが、一切通用しない異文化サプライズも多いです。「え?この程度の責任感でいいの?」「え?こんな大事な日に有給とっちゃう?」「え?コンセンサス取れてないですけど?」と、日々「え?」を繰り返しています。

現在私が関わっているプロジェクトチームは全員がそれぞれ好きな場所で働いているため、実際に会った事のないメンバーもいます。

チャットと添付資料と月に数回(数時間)のビデオコールだけで大きなプロジェクトをかなりのスピードで動かす事もあり、かなり不安になってしまうこともあります。

不安になると、「本当にこれでいいのか?」とぐるぐると同じ場所を堂々巡りしていたり、昼休みの散歩中にぶつぶつつぶやいていたりして、自分でも「あ、これヤバいやつ」と引いてしまうこともあります(笑)。

ぐるぐるが始まったら、キーボードからは一回離れて、ノートに考えを書きだして、何が問題かを突き止めるようにしています。

多様性と異文化サプライズの中で、「問題点」に取り組む作業を、アメリカ人の同僚と私は、「nightmare(悪夢)」と呼んで茶化したり、ミスコミュニケーションで生じるいざこざを「drama(ドラマ)」と呼んで、不安な気持ちをなだめています(笑)



みんなすぐ辞める

Talent acquisition and retention: It can be challenging for foreign-affiliated IT companies in Japan to attract and retain top talent, particularly if they are competing with domestic companies that have strong brand recognition and established relationships with universities and other talent sources.

日本に比べて社員の回転率が高い海外企業、その中でも、社員の離職率が圧倒的に高いIT企業で働き始めて一番驚いた事は、「みんなすぐ辞める」という点です。

IT業界は常に形を変え進化し続ける架空の生き物の様で、その細胞は常に新陳代謝を繰返しているため、細胞的な役割を果たす人材もどんどんリニューアルされていくのでしょう。

サザエさんの波平さんたちが働いているような企業とはまったく違う生き物ですから、常識や慣習とは全く無縁の存在です。

自分の価値観やあれやこれやの全てが、あっさりとぐしゃっと壊され、初期化&アップデートされている過渡期です。バグがいっぱりありそうです(笑)が、アップグレードされて、最適化される日を楽しみにしています。

外国人社員を増やした方がいい

多国籍企業勤務2年目のひよっこですが、やはり多様性は、企業の総合力にプラスになるという印象です。

Demographic changes: Japan’s aging population and shrinking workforce are creating a shortage of workers in some sectors. This could lead companies to seek out foreign talent to fill these gaps.

日本の高齢化と労働力不足は周知の事実です。いずれ外国人社員の登用を始めるなら、今からスタートして、徐々に慣らしていった方がいいと思います。

Globalization: As more Japanese companies expand their business overseas, they may need to hire people with language skills and cultural knowledge to help them navigate new markets.

グローバリゼーションはこれからも続くでしょうから、あちこちの国にネットワークを持っていた方が有利になりますね。

Diversity and inclusion: There is growing recognition among Japanese companies of the benefits of having a diverse workforce, including increased innovation, better problem-solving, and improved cultural competency.

多様性とインクルージョンは、「暗黙の了解で成り立っている日本の企業文化」を卒業する突破口となります。イノベーションや抜本的な問題解決を生みだすためにも、積極的に外国人の登用をお勧めしたいです。

50代の新たな挑戦

子供の学費も落ち着き、これから第2の人生を始める年齢になった時、「私はこのままここで死んでしまうのか?」と不安になりました。地方の英会話スクールを作って、システム開発をした人生。

ここで終わってしまうのか?

人生100年時代の今、あと50年、何をしていたいのか?

自問自答を繰返し、「よし、Full Stack Developer (フルスタックディベロパー:クライアント側とサーバー側両方のコードについて学び、ウェブサイトを構成するすべてのテクノロジーがどのように機能するかを理解している人)になろう」と決めました。

それまでも、オンライン学習で様々な言語やIT関連の知識を増やしてはいましたが、いわゆる「IT業界」での経験がない。

実際にIT業界で何が起こっているのか知る必要があると考え、まずは IT企業に就職する事にきめました。

現在の会社に入社してから、プロのエンジニアやディベロパー、プロジェクトマネージャーと一緒に働く事で、信じられないほど視野が広がり、自分の無知を知りました。地方スクールのシステム開発に甘んじていた自分がなんてちっぽけなんだろう、とがっかりしました。

とはいえ、「仕事の本質」に関しては、若い人たちより経験年数を積んでいるので、とんとん拍子に様々なプロジェクトを任されるようになり、要件定義書やマニュアル、研修、アプリ開発・品質管理、テスト等、小規模企業ならではの「まるっと」全てに携わるポジションを得る事ができました。

あと50年あれば、かなりゴリゴリの Full Stack Developer になれるに違いない」と自分を信じて、日々学習を続けよう! と張り切っています。どうぞ温かい目で見守っていてくださいね。

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