英検の合否は「何点取れば合格」なのか。調べると出てくるのは英検CSEスコアという見慣れない数字で、しかも級によって桁が違います。3級は1103、1級は2028。自分の答案の正答数を数えても、この数字には結びつきません。
ここを曖昧にしたまま対策を始めると、判断を一つ間違えます。「問題数の少ないライティングは後回しでいい」という判断です。公式サイトには、そう考えた受験者がどうなるかの具体例が載っています。読む・聞くが満点でも、書くが0点なら合格基準に届かない——という例です。
この記事では、CSEスコアの決まり方、級ごとの合格基準スコア、そして公式のその具体例を順に見ていきます。最後に、級別のまとめページへのリンクを置いています。
合否は素点ではなく、スコアで決まる
まず前提から。英検の合否判定に使われるのは、正答数そのもの(素点)ではありません。公式サイトはスコアの出しかたをこう書いています。
スコアは各回の全答案採点後、統計的手法(Item Response Theory)を用いてスコアを算出
Item Response Theory(項目応答理論)は、その回の受験者全体の答案を採点し終えてから、問題ごとの難しさも織り込んでスコアを出す方法です。大事なのは、そこから導かれる次の一点です。
受験者が、自分の正答数からスコアを計算することはできません。
「今回は何問正解だったから、スコアはこのくらい」という逆算は成り立ちません。全員の答案が採点されたあとに決まるからです。
自己採点をして「あと何問だったのか」と考えたくなる気持ちはよくわかります。ただ、その計算は結果を先取りしてくれません。試験が終わったあとにできるのは、スコアが出るのを待つことと、次に向けて手を動かすことだけです。だからこの記事も、素点の目安には踏み込みません。公式が割合で説明していない以上、こちらが割合で語るのは誠実ではないからです。
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問題数が多い技能ほど配点が大きい、ではない
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。公式サイトの記述を引きます。
技能ごとに問題数は異なりますが、問題数に関係なく、各技能にスコアを均等に配分しています
リーディングは設問がずらりと並び、ライティングはごく少ない設問しかありません。答案用紙を見た印象では、リーディングのほうが重そうに見えます。その印象は、スコアの上では成り立ちません。問題数がいくつであっても、技能ごとの持ち点は同じです。
その「技能ごとの持ち点」が、下の満点スコアです。級によって数字が変わりますが、同じ級のなかでは4技能とも同じ値です。
言い換えると、勉強の配分を「問題数の比」で決めるのは、スコアの決まり方に合っていないということです。長文読解を何題も解いた日と、ライティングを1題書いた日とでは、手応えはまったく違います。それでも、スコアの上で動かせる幅は同じだけあります。
| 級 | 1技能あたりの満点スコア |
|---|---|
| 1級 | 850 |
| 準1級 | 750 |
| 2級 | 650 |
| 準2級プラス | 625 |
| 準2級 | 600 |
| 3級 | 550 |
| 4級 | 500 |
| 5級 | 425 |
たとえば準1級なら、読む・聞く・書くのどれも満点は750です。ライティングは大問としては2題しかありませんが、持ち点はリーディング全体と同じ750。1題あたりの重さで言えば、ライティングは圧倒的に重いということになります。
2024年度からは、2級・準1級・1級に英文要約が、3級・準2級にEメール返信が加わり、ライティングが2題になりました。何がどう変わったのかは2024年度の変更点をまとめた記事に級別で書いています。技能ごとの配点が均等だという前提で読むと、この変更の意味が変わって見えるはずです。
級ごとの合格基準スコア
公式が公表している合格基準スコアです。一次試験と二次試験は別々に判定され、それぞれに基準があります。
| 級 | 一次試験(測定技能) | 二次試験 |
|---|---|---|
| 1級 | 2028(R・L・W) | 602(S) |
| 準1級 | 1792(R・L・W) | 512(S) |
| 2級 | 1520(R・L・W) | 460(S) |
| 準2級プラス | 1402(R・L・W) | 427(S) |
| 準2級 | 1322(R・L・W) | 406(S) |
| 3級 | 1103(R・L・W) | 353(S) |
| 4級 | 622(R・L) | スピーキングテスト 324(S) |
| 5級 | 419(R・L) | スピーキングテスト 266(S) |
表の読みかたで、押さえておきたい点が3つあります。
- 一次試験の基準は、3技能の合計に対する数字です。3級から1級までは読む・聞く・書くの3技能、4級・5級は読む・聞くの2技能で測ります。技能ごとの基準ではありません。
- 二次試験は話す1技能だけの基準です。一次のスコアは持ち越されません。一次を高いスコアで通っても、二次は二次だけで判定されます。
- 4級・5級は、二次試験ではなくスピーキングテストという扱いです。表の書き分けもそうなっています。
この3点に加えて、もう一つ気をつけたいのが級をまたいで数字の大小を比べないことです。1技能あたりの満点が級ごとに違うので、3級の1103と1級の2028を並べても「1級のほうが2倍近く難しい」といった意味にはなりません。比べられるのは、同じ級のなかで自分のスコアが基準に届いているかどうかだけです。
級ごとの出題形式そのものを確かめたいときは、英検の出題形式のまとめから入ってください。スコアの基準と、実際に解く問題の並びを一緒に見ると、どこに時間を使うべきかが具体的になります。
公式の具体例:ライティング0点の準1級は、他が満点でも不合格
「均等配分」が何を意味するのか、公式サイト自身が準1級を例に説明しています。同じ答案を、2015年度以前の素点方式と、2016年度以降のCSEスコア方式の両方で判定してみせる例です。
| 準1級・同じ答案 | 2015年度以前(素点) | 2016年度以降(CSEスコア) |
|---|---|---|
| 読む(R) | 51/51 | 750/750 |
| 聞く(L) | 34/34 | 750/750 |
| 書く(W) | 0/14 | 0/750 |
| 合計 | 85/99(約86%) | 1500/2250 |
| 判定 | 合格の目安7割を超えているので合格 | 合格基準スコア1792を下回るので不合格 |
読むと聞くが満点で、書くだけが0点。素点で数えれば99のうち85ですから、旧方式では通っていた答案です。ところがCSEスコアでは1500にとどまり、合格基準の1792に届きません。
理由は単純で、ライティングの持ち点750がまるごと抜けているからです。素点で数えれば14のうちの0でも、スコアで数えれば750のうちの0。素点では小さく見えた穴が、スコアでは一次で測る3技能のうち1つ分の穴になります。
ここが、この記事の結論です。
ライティングは、他の技能で埋め合わせのきかない持ち点を持っています。読む・聞くをどれだけ伸ばしても、書くが空白のままでは基準に届かない——公式が自ら挙げているのが、まさにその例です。
同じことは二次試験(話す)にも言えます。一次と二次は別判定なので、話すスコアを他の技能で補うことはできません。
なお、左側の「7割」は2015年度以前の方式についての説明です。現在の判定を割合で言い換えることはできません。素点とCSEスコアは対応しないので、公式も割合では説明していません。「何割取れば」という形の目安を探している場合は、この表の右側だけを見てください。
では、何に時間を割くか
ここまでを踏まえると、対策の優先順位はかなりはっきりします。
- ライティングを空白で出さない。形式に慣れていないという理由で丸ごと落とすと、一次で測る3技能のうち1つ分の持ち点を、自分から外すことになります。まず1題、最後まで書き切る練習から。
- ライティングは、伸ばす順序としても先に来ます。語彙や読解と違って、型が決まっている部分が大きいからです。書き出しと構成を決めてしまえば、短い練習量でも形になります。
- 二次試験(話す)は、一次を通ってから考えるのでは遅いことがあります。一次と二次は別判定で、話すスコアはそこでしか稼げません。一次の勉強と並行して、音読だけでも触れておくと当日が違います。
- 自己採点でスコアを逆算しない。できないからです。終わった試験の点を推し量る時間を、次の1題に回すほうが確実です。
4級・5級を受ける場合も、考え方は変わりません。一次で測るのは読む・聞くの2技能ですが、スピーキングテストには別に基準スコアがあります。一次の勉強とは別枠のものだと思っておくと、あとで慌てずにすみます。
あとは、自分の級のページから練習問題に進んでください。ライティングも面接も、問題ごとに解答例と考え方をつけています。
- 英検3級のまとめ——Eメール返信と英作文の2題、面接
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CSEスコアは、覚えなければいけない数字ではありません。覚えておくと役に立つのは、「技能ごとの配点は均等」という一行だけです。そこから、ライティングを後回しにできない理由も、面接を早めに触っておく理由も出てきます。出題形式のまとめと2024年度の変更点もあわせてどうぞ。
最後までお読みいただき、有難うございました。
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